これまでの弘済会しが教育賞

2022年度「弘済会しが教育賞」の講評と受賞結果

2022年度

 弘済会しが教育賞 全体講評

 コロナ禍の中、教育研究の取り組みが進みにくい状況にあるなかで、多くの学校や先生方から応募が寄せられたことに心から感謝申し上げます。
 各部門の講評を、審査委員長である滋賀大学教育学部の辻 延浩 先生からいただきました。

<学校部門>
 滋賀県内の小学校、中学校および特別支援学校から合計20編の応募がありました。研究主題としては、一人1台端末を生かした授業づくりや学校運営に関するもの、家庭や地域との連携に基づく社会に開かれた実践に関するもの、コロナ禍において児童生徒が安心して取り組めるための環境づくりに関するもの、学ぶ楽しさと確かな学力を育むための授業改善に関するものなど、今日的な教育課題に関する内容があれば、いつの時代も大切にされている不易な内容もありました。
 それらの中で、実践の目的が学校や組織の改善に寄与するものであり、かつ目的に対応した内容と方法が工夫・選択され、さらに、成果と課題が児童生徒や教員の変容(エビデンス)に基づき、わかりやすく表現・考察されている教育論文が高く評価されました。校長の確かなリーダーシップに基づく組織的で継続的な学校づくりの取組がこれからも求められます。

<個人・グループ部門>
 滋賀県内の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校および教育委員会から合計32編の応募がありました。研究主題としては、教科・総合的な学習の時間の指導、教育相談や生徒指導、人権教育といった教育課程の柱に関するものや、インクルーシブ教育、ICT利活用、国際交流などの今日的教育課題に関するもの、「読み解く力」を高める指導、見方・考え方を働かせる授業づくりや、効果的な校内研究やOJT研修などの新たな実践に関するものなど、多様で創造性あふれる内容が多くありました。
 それらの中で、応募者の教育観や授業観によってめざす学級や子どもの姿が具体的に表現され、客観的な実態把握に基づく指導や支援の手立てが丁寧に整理され、かつ取組とその成果が図表や写真などで「見える化」されている教育論文が高く評価されました。また、学級や個への指導が組織として広がり、学校力として機能している様子が伝わる論文は高評価でした。このような個人やグループの優れた実践がより一層広がっていくことを期待します。

<ユース部門>
 滋賀県内の小学校、中学校、高等学校および特別支援学校合計40編の応募があり、研究主題としては、ICT機器を有効に活用した授業づくりに関するもの、学級経営や学習集団の育成に関するもの、特別の教科道徳の授業実践に関するものや特別支援教育における合理的配慮にかかわる実践などがありました。若い先生たちが抱く教育実践課題に対して、授業記録や資料収集の仕方を工夫し、子どもの変容(成長)について具体的に記述されている実践報告が高く評価されました。
 全体で1,600字以内という限られた紙幅のなかで、いかに要点をまとめるか、表現の工夫が求められます。今回は、GIGAスクール構想に伴う一人1台端末の効果的な活用に関する報告が多く応募され、ICT教育に対する若い先生たちの関心とスキルの高さを窺い知ることができました。複雑で多様な教育課題が山積され、先行きが見通せない状況ではありますが、挑戦的で創意工夫ある実践の探究が期待されます。

学校部門・個人・グループ部門

〔最優秀賞・日教弘教育賞 奨励賞 受賞〕

学校部門 栗東市立栗東西中学校 (平子博之 校長)
      研究主題  1人1台端末を生かした「生徒の主体的な学びづくり」と「教員業務の軽減」  受賞論文

〔最優秀賞・日教弘教育賞 奨励賞 受賞〕  

学校部門 大津市立坂本小学校 (上畠憲一 校長) 
      研究主題  どの子にも学びのある授業を目指して
            ~坂本小スタンダードを基盤とした授業づくり、学びに向かう集団づくり~  受賞論文

〔最優秀賞〕

学校部門 彦根市立金城小学校 (野村智洋 校長)
      研究主題  「自分の言葉」でいきいきと伝え合う子どもの育成
            ~思いや考えのやり取りができる子を目指して~

個人・グループ部門 草津市立草津小学校 陌間 智 教諭
      研究主題  情報活用能力を伸ばすための小学校社会科の授業改善
            ~一人一台のタブレット端末を活用して~

個人・グループ部門 大津市立仰木中学校 山本香子 教諭
      研究主題  技術・家庭科における高齢者施設と連携した体験的な授業の発掘
            ~つながり、支え合う地域共生社会の担い手の育成を目指して~

個人・グループ部門 栗東市立葉山東小学校 木田 聡 教諭
      研究主題  安心して学校生活を送れる学級づくりをめざして
            ~学級全体と個別の両面からの支援を通して~

〔優秀賞〕

学校部門

 米原市立米原中学校 (一ノ宮賢了 校長)
   「故郷を愛し 人と関わり 自分を磨く」生徒の育成 ~コミュニティコミュニティ・スクール事業の実践を通して~

 大津市立皇子山中学校 (脇 淳子 校長)
   生徒の情緒安定を目指し、オールスタッフで取り組む! ~学校経営方針の重点に「特別支援教育の充実」をかかげて~

 大津市立雄琴小学校 (合田幹生 校長)
   授業づくりを核とした学校づくりを進める校内研究体制の在り方 ~「協同的な学び」の推進を中心として~

個人・グループ部門

 草津市立老上中学校 阿部節子 教諭
   不登校対策における教育相談の在り方

 大津市立皇子山中学校 北脇泰江 教諭
   生徒による生徒のための学校行事を通して、新しい学校文化を創る
   ~コロナ禍であっても持続可能な教育活動を展開し、開発的生徒指導を進める~

 元 彦根東高等学校教諭 神部 智 先生
   「新しい価値を創造する力」を育成する「総合的な探究の時間」のあり方に関する研究

〔優良賞〕

学校部門

 多賀町立多賀小学校 (松林淑子 校長)
   家庭・地域との連携のもと学校評価を活用し社会に開かれた教育課程の実現に向けた学校経営、
   縦のつながりと横の連携を生かした学校づくり ~学び合い、助け合い、高め合える多賀小学校をめざして~

 彦根市立高宮小学校 (久保田 篤 校長)
   ピンチこそ改革のチャンス ~ICT活用でコロナ危機を乗り越える

 長浜市立虎姫学園 (下村秀夫 校長)
   「ことば」を豊かに使い、人とつながりあえる「ことば科」の取組 ~義務教育9年間を見通した取組について~

 栗東市立大宝小学校 (小野澤祐子 校長)
   だれもが楽しい学校(学級)を自分たちで創る子の育成 ~子どもの「やりたい」を生み出し。生かす場の工夫~

 東近江市立八日市北小学校(中島純子 校長)
   自分の考えを深め、学びを生活の中で生かそうとする子どもの育成 ~展開後段の指導の工夫を通して~

個人・グループ部門

 彦根市立西中学校 富永太紀 教諭
   学校としての方針を大切にし、組織的に対応できる生徒指導を目指して

 甲賀市立土山中学校 山田恵子 教諭
   「朝礼道徳」の試み ~児童自立支援施設での道徳科~

 高島市立新旭北小学校 尾中一彦 校長
   変化の激しい予測が難しい社会をたくましく生き抜く子に ~子どもの活躍をみんなで認められる地域に~

 滋賀県立虎姫高等学校 杉山将崇 教諭
   問題解決型人権教育の新しい手法における取り組みへの模索

 湖南市立菩提寺北小学校 大角今日子 教諭
   子どもの「伝えたい!」「表したい!」を育む音楽教育

〔入選〕

学校部門 入賞校一覧(pdf)     ○個人・グループ部門 入賞者一覧(pdf)

ユース部門

〔最優秀賞〕

 滋賀県立国際情報高等学校 辻  天薫 教諭
      研究主題  聴覚障害のある生徒に対する支援と成果・課題

 高島市立マキノ南小学校  上田 慎也 教諭
      研究主題  道徳的実践力の向上を目指した教育活動の展開 
             ~ 地域の教職員と共に ~    

 彦根市立河瀬小学校    岡田  藍 教諭
      研究主題  Think Globally, Act Locally 
            幅広い視点から考え、自分の町で行動できる子どもの育成

〔優秀賞〕

 滋賀県立河瀬中学校・高等学校 杉浦 悠真 教諭
   新教育課程における主体的・対話的で深い学びのための授業研究 ~ICTを活用した授業づくりと評価の一体化を目指して~

 高島市立安曇川中学校 山本 諄一 教諭
   科学的な視点でとらえる体育の授業 ~ がんばればできる体育から考えればできる体育への転換 ~

 滋賀県立聾話学校 金田 泰貴 教諭
   「総合的な探究の時間」における聴覚障害のある生徒に対するキャリア能力を高める場の設定

 守山市立明富中学校 小澤 元生 教諭
   自ら学ぶ姿勢を促進させる授業構成 ~ 生徒の自主学習時間に影響を与える要因とは ~

 滋賀県立膳所高等学校 湯 真彦 教諭
   生徒による歴史解釈の試み ~ 鎌倉幕府の成立期を考える授業 ~

 栗東市立栗東中学校 原田 晃生 講師
   家庭学習習慣の定着と学習意欲向上に向けた課題づくりの実践と考察

〔優良賞〕

 東近江市立能登川東小学校 岡田 直也 教諭
   子どもの主体性を大切にした「たんきゅう」・「生活科」における探究プロセスの確立 ~ 学び方・指導方法の研究・実践を通して ~

 長浜市立富永小学校 堤 有里紗 教諭
   社会的自立を目指した特別支援教育に関する研究 ~ A児の「生きる力」を育む特別支援教育の3つのアプローチ ~

 滋賀県立伊吹高等学校 南部 久貴 教諭
   VRを活用したオリジナル教材の作成 ~ VR動画で学ぶ琵琶湖におけるプラスチックごみ問題 ~

 栗東市立大宝小学校 福井 駿 教諭
   自分の力を発揮できる学級づくり ~「クラス会議」の実践を通して ~

 滋賀県立伊吹高等学校 橋本 宥右 教諭
   科学 ✕ 書道 教科横断型授業 ~ 紙から考える実験 ~ 実践報告 

 大津市立坂本小学校 西口 愛 教諭
   非認知スキルを高める学級活動の実践 ~「安心・発信・自信」を大切にする学級集団を目指して ~

 滋賀県立草津養護学校 大野 真緒 教諭 人とのやりとり“楽しい”、“伝えたい”を広げられる授業づくりを目指して

 草津市立草津中学校 西山 真司 教諭
   ICT機器を効果的に活用した授業づくり ~ 読み解く力の育成 ~

 甲賀市立甲南第二小学校 角田 光優 事務主事
   学習環境の整備で、未来を見据えた生きる力を育てる

会員支援
WEB申請

日教弘会員
の皆様新しいウィンドウが開きます